1-4-2. インターネットへの不安・不満
 利用歴が浅い人と若者が、接続しにくいという不満を持っている。また、半数以上の人は回線速度の遅さを感じている。CATVで接続している人はおおむね満足している。利用料金については半数近くが高いと感じている。なお、既にインターネットを使っている人は簡単だと思っている様子である。
 ほしい情報が見つからないという人は全体の4分の1、ただし富山県のユーザの割合は高い。
 有害な情報が入ってくると懸念を持つ人は少なく、半数近くはセキュリティに不安を持っている。ネットのマナーに懸念を持つ人は富山県では少ないが、今後の議論が必要である。

【説明】
 ここでは、インターネットの利用者が感じている不安や不満について、利用環境面、技術面、意識面に分けて調べた。

1 利用環境への不満の中で一番多いのは回線速度の遅さである。

(1) 利用環境への不満については回線がなかなかつながらない21%、回線速度が遅い58%、接続料などが高い42%と答えている。
 回線速度に対する不満が高く、現在ではつながるかどうかといったことよりも回線の速度に対する不満が多くなっている。

(2) もっとも不満のが多かった回線速度については、既存の公衆回線を使っているため、絶対的に遅いとする不満とマルチメディア化などインターネットの技術は加速度を増して進歩しているのに対し通信回線の強化がこれに追いつかず相対的に遅いという不満とがあるだろう。

(3) 接続環境別では、個人ダイヤルアップ接続62%、会社・学内ダイヤルアップ接続55%、LAN接続55%が遅いのが不満と答えており、CATVを除く3つの環境においては半数を超えている。より高速な通信環境の整備が望まれる。


2 半数近くは現在の通信料を高いと感じている。

(1) 全体では42%が、富山県でも41%は接続料金が高いのが不満であるとしている。接続関係の三つの質問の中では、回線速度に対する不満に次いで大きくなっている。

(2) 月の負担額別では、支払額が2千円以下34%、2〜5千円54%、5千円〜1万円62%、1〜2万円69%、2万円以上71%が高いと答えている。
 接続環境別では、LAN接続33%、CATV接続25%が高いと不満を述べているのに対し、 個人のダイヤルアップ接続の人では54%が高いと不満を述べている。


3 インターネットを難しいと感じている人は、ほんの少しである。

(1) 全体では2%の人が、富山県では4%の人が難しいと答えている。利用者の属性で特徴が見られたものを上げると次のとおりである。
 インターネットが難しいとする人は男性2%、女性4%と女性の比率が高い。
 接続環境別ではLAN接続環境1%、ダイヤルアップ接続環境4%とダイヤルアップの比率が高い。
 利用期間別では3ヶ月未満の初心者8%、1年以上1%と短い方が高い。

(2) 以上のことから、初心者に操作が難しいとする人がやや多いということはあるものの、インターネットユーザは総じて、パソコン・インターネットを使いこなしている姿が窺える。
 問題は、難しいものだと思い込み、使う前からあきらめてしまっている人が多くいるのではないかということではないだろうか。まだパソコン・インターネットの環境に入ろうとしない人に対する普及啓発がこれから一層重要になってくるということであろう。


4 ほしい情報が見つからないのが不満という人は全体の4分の1、ただし富山県の割合は高い。

(1) 全体では26%の人が、富山県では32%の人がほしい情報が見つからないと答えている。これは、富山県のインターネットユーザの利用時間が短く、アプリケーションをまだ完全には使いこなし切れていないことも一因と考えられる。

(2) その他の属性では、あまり大きな違いは見られない。
 男性では27%が、女性では24%がほしい情報が見つからないとしている。年齢別の比較では各層を通じて26%程度が不満を述べており違いはない。他の属性による比較でも一定の 傾向は見られなかった。


5 有害な情報が入ってくると懸念を持つ人はまだ少ないが、今のままでよいか今後社会的な議論を待ちたい。

(1) 有害な情報が入ってくるとの不満を述べた人は、全体17%、富山県12%となっている。
 男女別では、男性16%、女性19%となっている。年齢別では、10・20歳代14%、30・40歳代18%となっている。利用経歴別では、おおむね、利用期間が長くなるにした がって不満を多く述べるようになっている。

(2) ネットワーク社会を作っていく上で、猥褻な描写や暴力的な描写がなされた情報をどう扱っていくか、何らかのルールが必要ではないかといった重要な議論がなされるようになった。この質問ではこれに答える材料は得られないが、郵政省が昨年11月にインターネットユーザと一般の方に対して同じ質問をし、比較したものがある。

※参考 昨年11月に郵政省が実施した調査において懸念を抱く人の割合
利用者調査 一般調査
猥褻情報の流通 17.5% 66.5%
過度な暴力を描写した情報 17.2% 45.2%
ネットワーク上の詐欺 63.5% 67.5%
誇大広告・虚偽広告 48.1% 60.3%
他人を中傷する情報の流通 44.5% 73.3%


6 約半数はセキュリティに不安を持っている。

(1) セキュリティが保証されないと心配する人は、全体51%、富山県44%となっている。

(2) 属性別に比較すると、まず男女別では、男性51%、女性50%とそう違いはない。年代別では、19歳以下が35%とかなり小さいほかは、各年齢層ともほぼ半数以上の人が不安を感じている。

(3) 仕事や家庭での使い方によってどう違うだろうか。仕事では、よく使う52%、使ったことがある54%、使わない43%がセキュリティに不安を感じている。ショッピングでは、よく使う42%、使ったことがある49%、使わない53%が不満だと答えている。
 つまり、仕事上のセキュリティに対する不安は、仕事によく使う人ほど高く、ショッピングでは、セキュリテ ィに不安があるから使いづらいといった傾向が窺える。


7 ネットのマナーに懸念を持つ人は少なく、富山県ではその傾向が顕著である。

 ネットになるとマナーの悪い人がいると感じるかとの質問に対し、全体では21%、富山県では14%が懸念を示している。
 有害情報、セキュリティ、マナーにおいては、全国に比べて富山県のユーザは懸念を示す度合いが小さい。
 世界的規模で情報が流通するネットワーク社会においては、危険なものを察知し、身を守ることができる人の育成と、ネットワーク社会のルールづくりに取り組む必要がある。しかし富山県の場合、その意識はまだまだ薄いと考えられる。



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